南和広域医療 企業団

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南和医療圏の現状

南和地域の医療は、このままでは維持していくのが困難な状態にあることをご存じでしょうか。病院がない地域に人が集まることはなく、地域全体の活力も失われます。そのため現状を打開するには、行政の施策と住民一人ひとりの力を合わせて取り組むことが重要です。
この組合では、南和地域の医療の現状を知っていただき、住民の方々と行政がどうすれば南和の医療を守ることができるのかを、一緒に考えたいと思っています。

南和地域の医療の現状は?

南和地域には3つの公立病院がありますが、いずれも急性期に対応する救急病院であるために、回復期・維持期になって社会復帰をめざす患者には十分に対応することができません。
また、救急病院では、急な手術や処置が必要な患者を治療するために医師・看護師など多くのスタッフが必要となりますが、3病院とも医師・看護師不足という大きな問題を抱えています。しかし、ある調査によれば、南和地域全体での救急患者は1か月に1,100人程度という結果が出ており、救急病院が1つあれば対応できます。
このため、3病院の経営状況が逼迫(ひっぱく)している今、現在の病院の組み合わせのままでは、南和の医療は守ることができません。
さらに、へき地の診療所では、開業医の高齢化が進んでおり、医師の不足が深刻です。すでに、常勤医のいない診療所が5か所もある状況です。
このように、南和地域の医療は待ったなしのところまで来ています。
急性期とは病気発生直後の手術や処置などの治療を行う時期、回復期とは病気の症状が安定しリハビリなどに取り組む時期、維持期とは長期にわたり療養する時期をいいます。

このような現状に至った原因は?

いままで公立3病院はいずれも救急病院として、急病になったときから、療養そして社会復帰するまでの一連の医療を、それぞれの病院が単独で提供しようと考えてきたからです。
一方で、公立3病院とも回復期・維持期に移行した患者には十分対応できず、いったん病状が回復した後の療養やリハビリなどの治療を行う病院も南和では少ないため、地域で治療を行える患者が減少(5年間で25%)してきました。(図1)(図2)

図1 公立3病院の入院患者の状況

  • 平成16年度から平成20年度 3病院の入院患者は5年間で約25%減少
  • 平成21年度 上記減少傾向に変化なし。平成21年度では前年度より入院患者数増加

図2 公立3病院の外来患者の状況

  • 平成16年度から平成20年度 3病院の入院患者は5年間で約25%減少
  • 平成21年度 上記減少傾向に変化なし。平成21年度では前年度より外来患者数減少

そして、意欲のある若手の医師が手術や治療を十分に経験できないため減少し、救急患者に対する十分な対応ができなくなるので、さらに患者が減少し…というように、悪循環が生じています。(図3)(図4)

図3 公立3病院の救急車搬送件数

  • 平成16年度から平成20年度 3病院の救急車搬送は、5年間で約20%減少
  • 平成21年度 上記減少傾向に変化なし。平成21年のでは前年度より救急車搬送件数増加

図4 患者が減った原因

また、少なくなった医師がさらに3病院に分かれているため、1つの病院では救急医療に対応する医師を十分確保することができず、他地域の病院に患者を搬送せざるを得なくなっています。例えば、同じ科の医師が南和地域の公立病院で合わせて3人当直していても、3病院に1人ずつ当直していた場合は、1人では入院を必要とする急な手術や処置に対応できないため受け入れることができないのです。
その結果、南和地域の住民で入院が必要な方の約60%が県外や県内の他地域の病院へ入院しているのが現状です。(図5)(参考 奈良市は約35%、中和は約30%が他地域の病院へ入院)
このように3病院の患者数が減少し、医療収益が落ち込んだ結果、経営状況が逼迫しています。

図5 南和医療圏住民の入院受療動向
※6割の患者は、地元の病院をすり抜けて圏外へ

では、どうすればいいのか?

こういった現状を打開しようと、平成22年5月17日に奈良県・市町村長サミットを開き、南和の医療等に関する協議会を設立して検討することが合意されました。その後、協議会での検討が進捗し、平成24年1月23日に南和広域医療組合となり、協議会での取り組みを受け継いでいます。現在3つある公立病院のうち、南和地域で急性期医療を担う病院は1つ、他の2つの病院は回復期・維持期医療を担う病院に役割分担する体制整備など、どうすれば南和地域の医療を守ることができるのか組合の中で具体的に検討しています。
奈良県では、へき地診療所の医師の確保については、へき地医療研修プログラムを策定し、へき地の診療を任せられる総合医の養成に取り組んでいます。
また、へき地医療機関で一定期間勤務することを要件に、医学生に貸与した奨学金を免除する仕組みも整えています。