○懲戒処分の指針

第1 目的

本指針は、職員が、地方公務員として遵守すべき義務に違反した場合において、当該義務違反についての処分を厳正かつ公正に行うとともに、標準例を示すことによって、職員の非違行為を未然に防止することを目的とする。

第2 基本事項

本指針は、非違行為の代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な処分量定を掲げたものである。

具体的な処分量定の決定に当たっては、

① 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか

② 故意又は過失の度合いはどの程度であったか

③ 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責は非違行為との関係でどのように評価すべきか

④ 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか

⑤ 過去に非違行為を行っているか

等のほか、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に考慮の上判断するものとする。

個別の事案の内容によっては、標準例に掲げる量定以外とすることもあり得るところである。例えば、標準例に掲げる量定より重いものとすることが考えられる場合として、

① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき

② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき

③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき

④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき

⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき

がある。また、例えば、標準例に掲げる処分の種類より軽いものとすることが考えられる場合として、

① 職員が自らの非違行為が発覚する前に自主的に申し出たとき

② 非違行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき

がある。

なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考としつつ判断する。

第3 標準例

1 一般服務関係

(1) 欠勤

ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。

イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。

ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。

(2) 遅刻・早退

勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。

(3) 休暇の虚偽申請

病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。

(4) 勤務態度不良

勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

(5) 職場内秩序を乱す行為

ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は減給とする。

イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 虚偽報告

事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。

(7) 違法な労働組合活動

ア 地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和27年法律第289号)第11条前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 地方公営企業等の労働関係に関する法律第11条後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を共謀し、唆し、又はあおった職員は、免職又は停職とする。

(8) 秘密漏えい

ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。この場合において、自己の不正な利益を図る目的で秘密を漏らした職員は、免職とする。

イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(9) 政治的目的を有する文書の配布

政治的目的を有する文書を配布した職員は、戒告とする。

(10) 兼業の承認等を得る手続のけ怠

営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行った職員は、減給又は戒告とする。

(11) 入札談合等に関与する行為

当企業団が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行った職員は、免職又は停職とする。

(12) 個人の秘密情報の目的外収集

その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。

(13) 行政文書の不適正な取扱い

ア 行政文書(南和広域医療企業団情報公開条例(平成27年南和広域医療組合条例第1号)第2条第2項に規定する行政文書をいう。以下同じ。)を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の行政文書を作成し、又は行政文書を毀棄した職員は、免職又は停職とする。

イ 決裁文書を改ざんした職員は、免職又は停職とする。

ウ 行政文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。

(14) セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)

ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職とする。

イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合においてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、当該職員は免職又は停職とする。

ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は戒告とする。

(15) パワー・ハラスメント

ア パワー・ハラスメント(南和広域医療企業団におけるハラスメントの防止等に関する規程(平成28年南和広域医療企業団管理規程第27号)第2条第4号に規定するパワー・ハラスメントをいう。以下同じ。)を行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。

イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返した職員は、停職又は減給とする。

ウ パワー・ハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた職員は、免職、停職又は減給とする。

(注) (14)及び(15)に関する事案について処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性等も情状として考慮の上判断するものとする。

2 公金官物取扱い関係

(1) 横領

公金又は官物を横領した職員は、免職とする。

(2) 窃取

公金又は官物を窃取した職員は、免職とする。

(3) 詐取

人を欺いて公金又は官物を交付させた職員は、免職とする。

(4) 紛失

公金又は官物を紛失した職員は、戒告とする。

(5) 盗難

重大な過失により公金又は官物の盗難に遭った職員は、戒告とする。

(6) 官物損壊

故意に職場において官物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(7) 失火

過失により職場において官物の出火を引き起こした職員は、戒告とする。

(8) 諸給与の違法支払・不適正受給

故意に法令に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職員は、減給又は戒告とする。

(9) 公金官物処理不適正

自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をした職員は、減給又は戒告とする。

(10) コンピュータの不適正使用

職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。

3 公務外非行関係

(1) 放火

放火をした職員は、免職とする。

(2) 殺人

人を殺した職員は、免職とする。

(3) 傷害

人の身体を傷害した職員は、停職又は減給とする。

(4) 暴行・けんか

暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったときは、減給又は戒告とする。

(5) 器物損壊

故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。

(6) 横領

ア 自己の占有する他人の物を横領した職員は、免職又は停職とする。

イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した職員は、減給又は戒告とする。

(7) 窃盗・強盗

ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。

イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。

(8) 詐欺・恐喝

人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職員は、免職又は停職とする。

(9) 賭博

ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。

イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。

(10) 麻薬等の所持等

麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をした職員は、免職とする。

(11) 酩酊による粗野な言動等

酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。

(12) 淫行

18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をした職員は、免職又は停職とする。

(13) 痴漢行為

公共の場所又は乗物において痴漢行為をした職員は、停職又は減給とする。

(14) 盗撮行為

公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けていない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をした職員は、停職又は減給とする。

(15) わいせつ行為

公然とわいせつな行為又は公共の場所若しくは乗物において卑わいな行為を行った職員は、停職又は減給とする。ただし、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為を行った職員は、免職とする。

(16) ストーカー行為(同一の者に対し、つきまとい等を反復して行うこと)

ストーカー行為をした職員は、停職又は減給とする。

4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係

(1) 飲酒運転(道路交通法で刑罰及び行政処分の対象となる酒酔い運転及び酒気帯び運転をいう。)

ア 飲酒運転により、人身事故を起こした職員は、免職とする。

イ 飲酒運転により、物損事故を起こした職員は、免職又は停職とする。

ウ 飲酒運転を行った職員は、免職又は停職とする。

エ 飲酒していることを知りながら運転を促した職員、運転をすることを知りながら飲酒を勧めた職員又は飲酒して運転していることを知りながら同乗した職員等は、免職又は停職とする。

(2) 飲酒運転以外での交通事故(人身事故を伴うもの)

ア 人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせた職員は、免職、停職又は減給とする。この場合において措置義務違反をした職員は、免職又は停職とする。

イ 人に傷害を負わせた職員は、減給又は戒告とする。この場合において措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

(3) 飲酒運転以外の交通法規違反

著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は戒告とする。この場合において物の損壊に係る交通事故を起こして措置義務違反をした職員は、停職又は減給とする。

(注) 処分を行うに際しては、過失の程度や事故後の対応等も情状として考慮の上判断するものとする。

5 監督責任関係

(1) 指導監督不適正

部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。

(2) 非行の隠ぺい、黙認

部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。

第4 公表

1 公表対象

懲戒処分は、原則としてすべて公表する。

2 公表内容

事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表する。ただし、次のいずれかに該当する場合は、原則として、所属、職名及び氏名等を公表する。

(1) 職務上の非違行為

(2) 職務外の非違行為であって、次のいずれかに該当する場合

ア 法違反の与える社会的影響が強く、行政として社会の影響に応えて公開すべき情報と判断される場合

イ 報道により、既に氏名等が公表されている場合

ウ 懲戒免職の場合

エ 飲酒運転の場合

3 公表の例外

被害者又はその関係者のプライバシー等権利利益を侵害するおそれがある場合等においては、1及び2にかかわらず、公表内容の一部又は全部を公表しないことができる。

4 公表時期

懲戒処分を行った後、速やかに公表する。ただし、軽微な事案については、一定期間ごとに一括して公表することも差し支えないものとする。

この指針は、平成31年4月1日から施行する。

この指針は、令和2年7月1日から施行する。

懲戒処分の指針

平成31年4月1日 種別なし

(令和2年7月1日施行)

体系情報
第5編 事/第3章
沿革情報
平成31年4月1日 種別なし
令和2年7月1日 種別なし